「学力の伸ばし方」について現役阪大生の方から寄稿いただきました。ご自身の体験談をもとに熱く語ってくださっています!
初めまして。大阪大学に通っているサクラ(女子)です。現在、大学2年生です。今日は、両親に対する感謝の気持ちを教育論という形に変えて述べたいと思って寄稿しました。
私はとあるド田舎で生まれ育った自他共に認める田舎娘です。どのくらいド田舎かといいますと、まず街にスーパーが無い。コンビニも8年前にできた1軒だけ。もちろん人口も少なく、小学校の全校生徒数はなんと47人でした。
学歴社会においては不利そうなド田舎で育った私が、都会の子たちに負けず、どうして大阪大学に合格できたのか、それは幼少期における両親の教育のおかげだと思っています。
■両親がしてくれた教育のコツ
端的にまとめると、「規則正しい生活」と「強制しない」ことの2つです。心身ともに健康な状態を保ち、自発的に勉強へ関心を持たせること。この環境を幼少期から与えてやることが、両親が考えるベストな教育法だったそうです。具体的にまとめてみます。
1、早寝早起きと朝ごはんを絶対に欠かさない
規則正しい生活なんて当たり前かと思われるかもしれないのですが、実際に規則正しい生活が出来ている子どもがどれほどいるでしょうか。 Benesse教育情報サイトによると「早寝早起き朝ごはんが出来ている小学生は37.6%」だそうです。
最近では珍しいかもしれませんが、私が小学生の頃は毎日9時にはベッドに入りなさいといわれました。その時は、厳しい親があまり好きではなかったのですが、規則正しい生活を送ることで授業中に眠くなることはありませんでしたし、小学校6年間は無遅刻無欠席でした。また、早起きすることで、朝食の時間をしっかり確保する意図もあったそうです。私は、毎日朝ごはんを食べていました。朝ごはんは集中力の源になるだけでなく、成長期の子どもにとっては欠かせないものです。
・親が手本になるように
子どもが自ら進んで早寝早起きをするということはあまりないと思うので、両親が「早寝早起きが当たり前」という環境を作ってあげることが大切です。子どもにだけ「早く寝なさい」と言っても、大人がリビングでテレビを見ていては、子どもは疑問に思いますし、寝付けないこともあります。もちろん、大人は仕事や家事のため一緒に就寝することは厳しいでしょうが、子どもがベッドに行きやすい環境を作ってあげることは出来ると思います。 わが家の場合、母は私が寝るときに一緒に布団に入ってくれ、私が寝つくまで側にいてくれました。
2、「勉強しなさい」を口にしない
親の目線に立てば、ついつい言ってしまいがちですが、毎回毎回、言われてしまったら、子どものほうも勉強する 気を失ってしまいます。また、きつく言えば言うほど、子どもの中に「勉強=強制されるもの」という意識が根付いてしまいます。まずは、「勉強をしなさい」と怒鳴らなくても自分で勉強する子に育てること、これが大切です。私の両親は、怒って勉強しろということはまずなく、「今日の宿題 できたかな?」と確認するように優しく接してくれました。
母の宿題チェックのおかげで、私の中に「勉強して当たり前」という意識が根付き、きちんと宿題を終えていると褒めてくれたので、母から言われる前に、「宿題もう終わってるよ」と報告できるように頑張るようになりました。この、「宿題は必ずするもの」という意識が小さなうちから身についたのは本当に良かったと思っています。さらに母は、答えが間違っているところは私が納得するまで丁寧に教えてくれたの で、苦手科目も少なくなりました。
小学生にとって学校の授業や宿題は全ての基本になります。中学校は小学校の基礎の上に成り立っているので、この基礎がきちんと出来 ていないと後で苦労するのは目に見えています。学年が上がるにつれて授業のスピードも上がっていくため、付いけていけないと置いていかれ、それが元で勉強嫌いになるかもしれません。こうした問題をなくすためにも、勉強を苦と思わせず、授業に集中させ、復習を自発的に行う環境を作ることが大切だし、私はそうしてきました。自然に机に向かっていたので学習塾に通ったこともありません。
なお、これもBenesse教育情報サイトのデータですが、どの学年の母親も約8割が「勉強しなさい」と子どもに対して言っています。また中学生では、「勉強しなさい」と言わないほうが、勉強時間が長いという調査結果も出ています。
「勉強しなさいよりも効果的!?な、子どもの学習意欲を高める関わり方」 https://benesse.jp/kyouiku/201203/20120322-1.html
3、読み聞かせで想像力を伸ばす
幼少期、母は寝る前に本を読み聞かせてくれました。本の種類は様々で、絵本にはじまり、日本昔話やイソップ物語、グリム童話などいろいろ選んでくれました。家にある本以外にも、保育所や図書館から借りてきたものや、子どもの年齢に応じて適切な本を送ってくれる通信教育も利用していたそうです。父は父で、源氏物語や宇治拾遺物語といった古典を買ってくれたため、自分で本が読める年齢になると、何時間も没頭して読むようになりました。おかげで私は本を読むのが大好きになり、国語の長文読解なんかも得意でした。
母が読み聞かせしてくれた本の中で最も記憶に残っているのは「ハリーポッター」です。まだ小さかったので全てを理解して聞いていたわけではなかったのですが、聞こえてくる母の言葉から、自分の中で魔法の世界を想像しながら聞いていました。第5作目ぐらいになると自分で読めるようになっていたので、母が読んでくれるのが待ちきれず、一人で読むようになりました。
ちなみに、私は3人兄弟の真ん中なのですが、母いわく、読み聞かせをする機会が多かったのは兄-私-弟と兄弟そのままの順で、国語の成績が良いのもこの通りの順番です(笑)。
読み聞かせの効果については研究が様々に進められているようです。下記のサイトでも多くの読み聞かせの効果が上げられています。語彙力が増し、国語力がついたり、注意力や集中力が身についたりするだけでなく、知的好奇心が育まれ、子どもの自己肯定感を高めるなど学習面以外の効果もあるようです。
幼児才能開花教育まいとプロジェクト 「絵本の読み聞かせの効能・効果」 http://www.might-project.com/child-care/book-select/003/index.html
4、 リビングを絶好の学びの場に変える
私は、よくリビングで勉強していました。勉強部屋は2階にあったのですが、リビングの方が家族もいるし賑やかなのでリビングが好きでした。これ、普通に考えると集中力が落ちそうですよね。ところがメリットがあって、リビングで勉強すると分からないことがあったらすぐに兄や両親に聞くことが出来ましたし、母も勉強内容がどのくらい理解できているのか把握しやすかったと思います。
また、リビングには世界地図や、「小学3年生で習う漢字」といったポスターも貼っていました。勉強しようと思わなくても自然と視界に情報が入ってく るような環境になっていました。例えば、テレビで「ペルーで地震が発生した。」という放送が流れたら、「ペルーってどこにあるんだろう。」とすぐに探すこ とが出来ますし、時差がどのくらいあるかを計算して、「日本は朝だけど、ペルーは昨日の夜なんだね。」というように、学ぶことが出来ます。私の家で はこんな風に、学びが家の中にごく自然にあって、勉強と日常が密接に結びついていました。
リビング勉強法については一定の効果があるという専門家もいるようです。
All About「リビングで勉強することの効果」http://allabout.co.jp/gm/gc/184268/
■さいごに
こうして振り返ってみると、両親、特に母は、好奇心が一番のモチベーションになると考えていたようです。お金をかけての早期教育・英才教育も否定しませんが、そうした詰め込み教育よりも、子どもがいろんなことに興味を持てる環境づくりに力を入れてくれたのだと感じます。
こんなふうに育ててくれた両親に感謝しつつ、私もいつか親になったら子どもに同じことをしてあげたいと思います。