新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大の影響により、多くの企業がその対応・対策に追われています。
各社とも感染拡大防止に向けて奮闘しているとはいえ、すべてのユーザーの希望にそうことは難しく、その不満の一部は口コミとなってみん評に投稿されています。
そこでみん評編集部では、ユーザー・企業、両方の問題解決の糸口となるという視点から、コロナ禍にまつわる口コミ2,094件(2020年1月24日から5月8日投稿分まで)を仕分けし、不満の種類を原因別に集計、ランキング化してまとめました。
・ユーザー側の問題解決
その商品・サービスを利用する際の注意点がわかり、消費にあたっての心構えができる
・企業側の問題解決
消費者の率直な意見がわかり、サービス改善のヒントにつなげることができ
以下、全業種の集計に加え、特に不満が集中した業種については個別に紹介します。
全業種で1位は「キャンセル料がかかる」。次いで「サポート対応が悪い」
全業種の不満ランキングの結果は次のとおりでした。
- キャンセル料金がかかる(33.8%)
- サポート対応が悪い(32.1%)
- 休業していない(14.7%)
- 感染症対応不足(13.8%)
- サービスの遅延(3.2%)
- 職場の感染対策が不十分(1.0%)
- 欠品が多い(0.7%)
- 高額転売(0.3%)
- 解雇の手当が不十分(0.3%)
※小数点以下第2位を四捨五入しています。
1位:キャンセル料金がかかる(33.8%)
最も多かったのは、やはりと言うべきか、「キャンセル料金がかかる」ことに対する不満。航空券やイベントチケットのキャンセル料のほか、フィットネスクラブなど会員制の定額サービスをめぐっての問題もここに表れています。
企業側にももちろん事情がありますが、消費者も政府や自治体の呼びかけに応じて外出を取り止めたわけですから、臨機応変な対応を求めるのも無理はないと感じます。
2位:サポート対応が悪い(32.1%)
2位は僅差で「サポート対応が悪い」でした。少し意味が広いですが、急なサービス変更に伴う説明不足への不満や、電話やメールに応答しない、またはレスポンスが遅いといった不満です。
「キャンセル料がかかる」ことには理解を示すけれど、企業側とのコミュニケーションが成り立たなかったことが残念といった口コミも見られ、やはりサービスの基本はコミュニケーションだということがわかります。
感染拡大の防止や人件費の削減等で出社できる職員が少ないなど、やむを得ない事情はあるにせよ、ユーザーの不満は非常に大きかったようです。
3位:休業していない(14.7%)
そもそも、なぜ休業していないのか?という疑問にも似た不満が3位に。
主に「新型コロナウイルスに対する意識が低い!」という感染拡大を憂いての口コミで、営業している企業全般に向けられていました。
新型コロナウイルスの1日でも早い収束を願う思いが不満となって表れたのでしょう。ただし、企業側も営業停止を続けるのには相応の体力が必要であり、国からのサポートも不足ぎみな中では非常に難しい問題だと言えます。
4位:感染症対応不足(13.8%)
「スタッフがマスクをしていない」「消毒液の用意がない」「換気が不十分だ」といった意見も多く見られました。
業種を問わず接客業全般に対する不満ですが、配達員や引っ越しスタッフなど、接客が中心でない職種の方への指摘も。
マスクの在庫切れというケースもあるでしょうが、とはいえ、「きちんと対策している」という姿勢を見せてほしいということでしょう。
5位以下はほぼ団子状態
5位以下は、頼んだものが届かないなどの「サービスの遅延(3.2%)」、職員が自身の感染リスクに怯えている「職場の感染対策が不十分(1.0%)」、主に食材宅配系で起こっている「欠品が多い(0.7%)」、マスクや消毒液などの「高額転売(0.3%)」、人件費カットによる労働トラブル「解雇の手当が不十分(0.3%)」の順でした。
特に不満の口コミが集中した業界
以下では、コロナ禍にまつわる口コミの中でも、特に不満が集中した業種について取り上げ、原因を考えます。
フィットネス業界
フィットネス系に投稿された不満の1位は「サポート対応が悪い」(34.5%)、次いで「休業していない」(24.4%)、僅差で「キャンセル料金がかかる」(24.2%)でした。
業種総合1位だった「キャンセル料金(フィットネス系では休会費や退会に係る違約金)がかかる」よりも「サポート対応が悪い」が上回ったのは、料金が発生すること以上に臨機応変に対応してくれない企業への不満が大きかったためだと思われます。
そこで、「サポート対応が悪い」の内訳を集計してみました。
圧倒的に多いのは「休会・(違約金が発生するため)退会ができない」(43.8%)で、次いで「説明と周知不足」(20.2%)、「連絡がとれない」(13.6%)と続きます。
サービスを受けられる状況にないにもかかわらず、継続して料金が発生することへの対策を講じてくれない不満。どうして対応できないのか?その説明が不十分だったり、公式なアナウンスがされない(または遅い)ことへの不信感。直談判しようにも、休業中で連絡がつかない苛立ちの声が多く見られました。
やむを得ず料金がかかる(休会費が発生する)としても、会員とのコミュニケーションさえ取れていれば、と感じる結果となりました。
観光業界
観光業界に投稿された不満のほとんどは、手数料を含めた「キャンセル料金がかかる」こと(65.3%)でした。また、返金には応じてくれても、それが現金ではなく、特定のサービス内でしか使えないポイントやクーポンだったりすることへの不満もちらほら。
フィットネス系と違い1度きりの料金のせいか、サポート対応よりも返金システムそのものへの不満が多く見られたのが特徴です。
宅配業界
宅配・配達系の口コミで目立ったのは、商品が届かないなどの「サービスの遅延」(33.3%)。急激に配達物が増える、人手が足りない、など配達側の事情は理解しつつも、ユーザーはユーザーで待つことしかできず、行き場のない思いが表れています。
次いで、マスク不足が続き、配達員がマスクをしていないなどの「感染症対策不足」(29.8%)。とはいえ、最近は対面しなくても受け渡しができる「置き配」も増えているので、私たちもできる限り利用したいところです。
集計を終えて
総合的には、「キャンセル料金がかかる」「サポート対応が悪い」がツートップという結果になりましたが、ほとんどの不満は個別で発生しているのではなく、1つの不満が次の不満へと連鎖して膨らんでいることもわかりました。
さいごに、冒頭でも述べましたが、今回の集計はユーザー・企業、両方の問題解決の糸口となるために作成したものです。企業側の対応不足を非難するためのものでは決してありません。実際に、不満の多くは企業個別のものではなく業界全体に共通するものが目立ちました。
現在、余裕がないのは皆同じです。コロナ禍においても気持ちのいい経済活動ができるよう、企業側はユーザーのニーズを、ユーザー側は企業側の諸事情をくみ取るために役立てていただければ幸いです。