引っ越し業者を利用する際の心構え10か条

みん評に寄せられる口コミを見ていますと、業者を問わず、共通して見られる声があります。そういった口コミは、すなわち、引っ越し業者を利用するうえで「ありがちなこと」であると言えます。

そうした「ありがち」なことを、あらかじめ知っていると知らないとでは、大きな違いがあります。

中には、引っ越し業者側に問題があって、今後の改善を期待したいというものもあります。

そういう場合、業者に対して声をあげていくことも必要な一方、そういったことがあるという事実はひとまず受け入れ、利用者側が事前に心構えを持っておくことで、トラブルを未然に防いだり、もしトラブルになっても落ち着いて対応したりできるでしょう。

そこで、みん評に届いた口コミをもとに、引っ越し業者を利用するうえで、しておいたほうがいい心構えを紹介していきます。

目次

【引っ越し業者を利用する際の心構え10か条】

1.見積もり依頼をしたら、深夜でも電話がある

ネットからの見積もり依頼は24時間いつでも可能です。そこで、自宅でゆっくりできる夜間に依頼をしておいて、翌日以降、引っ越し業者からの連絡を待とう、などと思っていると、依頼をしたすぐ後に電話がかかってきて驚かされることがあります。

夜の12時を回った深夜帯でも電話があって迷惑に思ったという口コミもあるのですが、実はこれは珍しいことではありません。

一括見積サイトから依頼した場合などは特にありがちで、これは、相見積で比較される立場にある引っ越し業者が、他社より少しでも早く、契約をとりたいという思いから、スピーディな初動を心がけていることによるものです。

そのため、ネットからの見積もり依頼は、ほぼ、すぐに連絡があると考えましょう。深夜でもあります。ですので、折り返しの連絡をされたくない時間帯には依頼を行わないのが適切です。

2.訪問見積もりの予定は変更されがち

訪問見積もりの日時を約束していたのに、引っ越し業者の担当者から急に予定を変更したい、という連絡があったり、連絡もなく遅れる、ドタキャンされるというケースがあります。

主には、前の訪問見積もりの時間が伸びたなどが原因で、これはもちろん、担当者のスケジュール管理の問題です。しかし、利用者としては、「こういうこともある」と認識しておくことが大切です。

そこで、以下のいずれかの対応が良いでしょう。

・訪問見積もりの予定には大幅に予定を持たせる

・予定が変更になった場合は割り切って、諦める

きっちり時間を決めて縛られるより、一日、家にいて、家事をしたりテレビを見たりしてのんびり待つとか、逆に、予定が変わった場合は、その時点で速やかにキャンセルするなりして、このことに拘泥してむやみに腹を立てたりしないほうが精神衛生上も良いことが多いです。

複数業者に見積もりを依頼し、時間帯を変えて同じ日にまとめ、時間通りに来ずに業者同士がバッティングした場合は、そのまま両社の話を聞くか、遅れたほうに帰ってもらう、くらいの対応で構いません。

3.「訪問見積もりで居座られる」「何度も電話がある」など、営業担当から強引なプッシュがあることがある

引っ越し業者としても、なんとしても契約したいと考えるのは当然です。複数業者に見積もりを依頼しているという状況ですとなおさらでしょう。そのため、見積もりの際に、営業担当から猛烈な攻勢を受けることがあります。

口コミでは、訪問見積もり時に、自宅に居座られて困ったという声もあります。

そんな場合は、「帰ってください」とハッキリ言うだけで構いません。ほとんどの場合、居座られるのは、自分の態度がはっきりしないことが原因です。言い難い人は「次の業者さんが見積もりに来ることになっている」などと言ったり、実際に、訪問見積もりの予定を連続で入れるのがいいでしょう。

自分ひとりで対応するのではなく、家族や友人に同席してもらうのも良い方法です。

訪問見積もりを終えた後も、頻繁に電話がかかってくることがあります。訪問見積もりの時も同じですが、そのようなしつこいアプローチがあるのは、こちらの態度がはっきりしないからです。

複数社の見積もりをとる予定で、見積もりが出揃っていない時や、もう少し検討する時間がほしいときは、

・今すぐには返事できない

・○日頃に決めるつもり

ということを伝えましょう。このとき、これ以上のことは言う必要がなく、下手に「相見積をする」「○○社と迷っている」と言ってしまうと、「他社は幾らだったか?」など、営業担当のトークに巻き込むきっかけを与えてしまいます。そこで渡り合って逆に交渉できるくらいならいいのですが、電話が煩わしいということであれば、上記の点だけ伝えて、切り上げてしまいましょう。

そして、その業者には依頼しないと決めたのであれば、「もう決まりました」とだけ伝えます。このとき、食い下がってくる担当者もいますが、対応せず、穏やかに電話を終えましょう。まったく可能性がないとわかれば、担当者としても、無駄な時間を使わないほうがいいのですから、諦めてもらえるはずです。

電話がしつこくなるのは、こちらがはっきりしないがために、担当者に可能性を感じさせてしまうから、ということを理解して、淡々と対応するのが正解です。

4.営業担当は他社の批判を言うことがある

訪問見積もりに来てもらった営業担当者が、他社を批判するようなことを言うのが不快だった、という口コミを見かけます。

決して良いこととは言えませんが、残念ながら、そういった発言をする人がいるようです。自分の会社で決めてほしいという思いから出ている発言かと思いますので、その気持ちだけ受け取って、内容については、あまり気にしないのが適切でしょう。

他社について聞いた内容について、すべてを信じる必要はなく、その会社にも見積もりを依頼しているのであれば、実際に、自分の感覚で判断されることをオススメします。

もちろん、そういった他社の悪口を言うという態度自体が好ましくない、と思えば、それを理由にキャンセルするのも自由です。営業担当と引っ越し当日の作業担当者は異なりますが、以後も窓口になる営業担当が信頼できなければスムーズな引っ越しができない可能性があります。度が過ぎた他社批判のための悪印象を理由にキャンセルが続けば、引っ越し業者側で指導が入ることにもつながります。気になる人は、せっかく依頼したのだから……と悩まずにキャンセルを。その場合の決断は早いほうが良いでしょう。

5.どんなにプッシュされても即決はしないほうがいい

訪問見積もりに来た営業担当から、「今、決めてくれたらこの値段でできる(今、決めないとこの値段ではできない)」と言われて、非常に迷った、という口コミが目立ちます。

このトークは引っ越し業者の営業担当が使う基本的なテクニックのひとつです。その意味では、「親切な値引きのオファー」ではありませんので、即決はしないことをオススメします。即決してしまうと複数業者に見積もりを依頼する意味がありません。「今、決めたら安い」と言われて決めてしまったら、他社がもっと安い見積もりを提示するかもしれない可能性を失ってしまいます。

もちろん、すべての見積もりを比べてみて、その時提示された金額が最安である場合もありますが、それはやむをえないと考えるべきです。即決しないことに食い下がられたら、既婚の女性などであれば「主人の許可がないと決められないので」、転勤などで引っ越しする場合は「会社にも聞いてみないと」などと言えば断りやすいでしょう。

引っ越しは、料金が安ければいいというものではなく、サービス面でも良い業者を選びたいものです。その意味でも、複数社の比較は重要ですし、提示された料金を額面だけで判断するのではない視点を持つべきです。

引っ越しの料金は、荷物量から予測される「トラックのサイズ、台数」「作業員の人数」、「周辺状況(新居・旧居の階数やエレベーターの有無、建物前の道の広さなど)」「その他条件(日取りなど)」などから決まります。この明細を把握したうえで、複数社の見積もりを比べてみれば、なぜ高い/安いのかが見えてきます。

2つの業者で、一方は2トントラックと考え、もう一方は1.5トントラックと考えた場合、後者のほうが安くなりますが、そちらが良いとは言い切れません。後者の、見積もりが甘くて、実際には2トンでないとすべての荷物を運べなかった場合、後者だと積み残しや、追加料金が発生することになり、結果的には前者に依頼したほうがスムーズだったということもあるのです。

じっくり検討して納得のいくところに決めるためにも、即決は避けるということを肝に銘じておきましょう。

6.それでも訪問見積もりは必ず行うべき

「予定が変更になりがち」「猛烈なプッシュがある」などと聞いて、訪問見積もりが怖くなってしまう人もいるかもしれません。引っ越し業者によっては、電話だけで見積もりをしてくれるところもあります。ですが、できるだけ訪問見積もりを行うことをオススメします。

引っ越しの料金は荷物量に大きく左右されます。荷物量は部屋数や世帯人数からある程度類推はできますが、個人差もあるため、最終的には実際に見てもらうのが一番なのです。引っ越し業者が荷物量を正確に把握してはじめて、適切な見積もりが可能です。逆に言えば、訪問見積もりを経ずに出された見積もりでは、実際の作業時に食い違いが生じ、追加料金が発生するばかりか、作業時間が長引いたりといった不都合も起こりえます。

訪問見積もりを行うときは、すべての部屋・荷物を、包み隠さず、見せるようにしましょう。荷物量を少なめに伝えると、見積額は安くなりますが、結果、積み残しが発生したら本末転倒です。このとき、運んでもらいたいけれど、部屋の中にはない「自転車」など、一見してわからない荷物について伝え忘れのないよう注意します。引っ越しを機に捨てる予定のものがあれば、そのことも伝えましょう。

7.可能な限り早めに予約しないと、希望の日時で引っ越しできないことがある

引っ越し業者に希望の日時を伝えても、なかなか希望通りに予約がとれない、希望の日時にトラックや人員の都合がつかない、と言われ、予定を変更せざるをえなくなった、という口コミがあります。

もし、引っ越しの日程・作業開始の時間帯にはっきりした希望があるなら、できるだけ早めに予約するのが、最大にして唯一の解決法です。

4月などの引っ越しシーズン、希望が集中しやすい土日などは特にそうです。引っ越し業者も、意地悪をしているわけではなく、予約がすでに殺到しているからこそ、希望が通りにくくなっています。これを防ぐには、1日でも早めに依頼するしかありません。転勤など、自分の意思で決められない、急に決まった引っ越しなど、難しい場合もありますが、直前の申込みで希望通りにならないのは、これはやむをえないと考えてください。

逆に言えば、希望の日時を、引っ越し業者の都合に任せるのは、料金を抑えるのにいい方法です。ただし、その場合、日時についてあとから不都合を申し立てるのはよくないでしょう。特に、開始時間を午後に設定した場合、業者の到着が大きく遅れることがあります。これは、通常、引っ越し業者はひと組の現場担当者チームが、平均して日に2~3件の現場を担当しているためで、開始時間を正確に始めたい場合は、午前中からのスタートにするしかありません。

このように、引っ越しでは、料金と、日時の自由度などがトレードオフの関係にあることが多いです。自分の希望を通すためには、引っ越し業者の都合を聞く必要がある、という大原則を頭に入れておきましょう。

8.業者からの連絡が遅かったり、こちらの要望がうまく伝わらないことは多い

引っ越し業者では、訪問見積もりに来てくれる営業担当の人と、当日に来てくれる作業担当の人は別です。また、大手の業者では、電話を受けるコールセンターがまた別にあることも多いでしょう。営業担当・作業担当ともに、日々、それぞれが数多くの訪問見積もりや現場作業に動いているため、その合間をぬって行う連絡は遅くなりがちです。

口コミでも、業者からの連絡が遅くて困った、という声が多く見られます。営業担当の人に伝えた内容が、作業担当の人に伝わっていない、というケースもよくあることです。

これらは改善してほしいところではありますが、実際よくあることなので、あらかじめ心得ておきましょう。

対策としては、互いの連絡が最小限で済むよう、見積もり時などに、伝えたいことや確認したいことはすべて済ませておきます。そして、営業の人から現場担当に伝言が必要なこともできるだけ少なくします。もし連絡が行き違った場合も困らないような備えをしておくとより良いと思います。

そして、こちらから伝えた内容が、業者内で共有されにくい、ということを考慮するならば、複雑な依頼はできるだけ避けたほうが無難です。利用者は顧客であるという意識から、いろいろな要求をしてしまいがちです。引っ越し業者は対価を得ているのですから、できる限りの対応はすべきですが、現実問題として、対応し切れないことも多いのですから、利用者自身が過剰な要求をしないと心がけることが、かえって利用者を守ることになるのではないでしょうか。

9.当日は、作業をしっかり見ておいたほうがいい

当日、現場で起こる問題として、次のようなことがあります。

  • 荷物を乱暴に扱われた
  • 建物をキズつけられた
  • 荷物にキズがついた、破損した
  • 荷物の積み残しがあった
  • 荷物が紛失した

引っ越し業者は、1日に2~3件の現場を担当していることが多く、できるだけ作業を早く終わらせたいと考えています。その結果、作業が荒っぽくなってしまう人もいることでしょう。結果、荷物や建物の破損、積み残しや紛失が発生します。

これを防ごうとして、「丁寧にしてください」「乱暴にしないで」などと声をかけても、必ずしも効果は望めません。作業担当の人は、別に乱暴に運ぼうと思ってやっているわけではなくて、早く終わらせたいだけだからです。

しかし、家の人が見ている前で、あからさまに乱暴にすることはできませんから、「作業を見ている」のが一番優れた対策と言えます。

このとき、いかにも「監視しているぞ」という感じでいると、作業担当の人も気分が良くないでしょう。きちんと丁寧に運ぶのが業者の仕事とは言え、担当の人も人間なので、感情に左右される部分はあります。利用者は、なるべくにこやかに、適宜、声を掛けるなど、コミュニケーションをとりながら、作業を見ているようにするのがオススメです。

荷物を運び出す旧居内、積み込み・積み下ろしをするトラック周辺、運び込む新居内の、すべてを一人の人が見ることはできません。そこで、できれば、複数人で、引っ越し作業全体を見ておくのが理想です。

また、ダンボール箱には「連番を振る」「中身や運び込む先を明記しておく」など、利用者側でできるだけのことはやったほうがいいでしょう。たとえ「お任せプラン」のようなものであっても、引っ越しは業者に100%任せ切りにはいかない性質があります。業者と協力して、一緒にやっていくという意識がトラブル防止にも有効です。

10.トラブルがあった場合は、その日のうちに解決の糸口を掴んでおくべき

たとえば荷物が破損したなど、当日、現場で問題が起きたとき、どうすればいいでしょうか。

まず、心がけてほしいのは、問題がないかの確認は可能な限り当日中に行ってほしい、ということです。当日は荷物運びの監督だけでせいいっぱいで、それが終わったら疲れてしまった……というのもよくわかりますが、引っ越しを終えてから、後で荷物がない、壊れていた、と言っても、その責任の所在を明らかにするのは非常に困難になります。

引っ越し業者としても、毎日、無数の引っ越しを行うなかで、発生する大小さまざまなトラブルの責任問題をすべて処理するのには限界があります。時間が経てば、人の記憶は薄らいでいきますし、当日、起きたことを立証するのはどんどん難しくなっていくでしょう。そのため、極論すれば、「当日、発見できなかった問題について、後から引っ越し業に責任を問うことは不可能」と考えても構いません。

少なくとも、そのくらいの心構えでいたほうがいいとは言えるでしょう。

ですから、どんなに疲れていても、できるだけ当日のうちに、荷物の破損や紛失がないかなどの確認を、業者の人立ち合いのもとに行いましょう。そして、問題が発見されたら、その対処について、やはり当日中にできるだけの話し合いをします。

ただし、このとき、現場の担当者の一存では決められないことがあることは理解しておきましょう。そのため、結局、「詳しくは後日……」ということになってしまうのですが、そう言われて、そのままになってしまうケースが、残念ながらあることは口コミからもわかります。後日の話し合いになるにしても、当日中に、先方の担当者名と連絡先は確認し、なんらかの対応は行ってもらえる約束はしておくべきです。

口コミでは、トラブル時に業者から謝罪の言葉なく、不快であった、という声が散見されます。この点については、責任の所在がはっきりしないうちに責任を認めることができないという事情があります。気持ちはわかりますが、謝罪の言葉がないことだけに拘泥していては本質を見失います。

まとめ

引っ越し業者利用にあたっての心構えをお届けしましたが、実のところ、実際に担当してくれた方に左右されるという面も大きいです。口コミを読んでいると、どうしてもよくない評判が目につきますが、決してよくない担当者ばかりではありません。真摯にお仕事をされている方も大勢いるなかで、悪い事例の口コミが目立ってしまうのは残念なことです。

しかし、困ったケースがあるのも事実だからこそ、ここでご紹介したような心構えを持っておくことが大事です。また、利用者側も、引っ越しについて詳しくなっておきましょう。そのためには、一括見積サイトなどを使って複数の引っ越し業者に依頼し、たくさん話を聞くこと、それを通して業者を比較する目を養うのが早道です。

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