『美味しんぼ』はSF漫画だから意味不明な描写をしてもOKだと思う話

ちょっと話題から出遅れましたが、人気グルメ漫画『美味しんぼ』で描かれた原因不明の鼻血ブー描写が「風評被害じゃないのか!」と批判を浴びていますね。

これを受け、小学館のビッグコミックスピリッツ編集部は、寄せられた意見をまとめた特集記事を掲載すると発表しました。まあ確かに、あの手の描写は突っ込まれても仕方ないでしょう。いくら取材相手の声や作者の実体験とはいえ、今もさまざまな風評が飛び交う福島県のことを考えると、編集部にもう少し配慮があっても良かったのではと思います。

ただ、私はそれほど大事には感じませんでした。なぜって、そもそも美味しんぼってトンデモ漫画だから何が起こったって不思議じゃないです。私は子どもの頃から美味しんぼの愛読者ですが、この漫画が話を拡げるためならいろんな現実を吹っ飛ばすことは早6巻で明らかになっています。

以下、リアルなグルメ漫画だと信じて愛読していた少年の私を困惑させた『日本のコンソメ』という回を紹介します。

目次

伝説のトンデモ回『日本のコンソメ』とは

ストーリーは、クリス・ヴォーンという超能力者の実験会に山岡士郎と栗田ゆう子が参加するところから始まります。

ご存知のとおり、美味しんぼのテンプレートは、

誰かが特定の料理をバカにする → 可哀想に。本当に美味い◯◯を食ったことがないんだな → なんだと若造!→ 1週間後この場所に来てください。本当に美味い◯◯をご馳走しますよ。→ 料理に感動 → すまなんだ山岡君。

という流れを追います。この回のならず者は、クリスの実験会に同席していた他社の雑誌編集者でした。彼らはクリスに媚びを売っているのか、「日本料理の吸い物はコンソメスープの相手にならない」等と言って小バカにします。

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美味しんぼ6巻 第6話「日本のコンソメ」/原作:雁屋哲、作画:花咲アキラ (以下同)

普段ならここで定番の決まり文句をビシリと決める山岡士郎ですが、良質の昆布とカツオブシを手に入れるには時期が悪いらしく、いつもよりやや控えめな感じ。すると同席していたクリスが、

「だったら超能力で適切な時期までタイムワープしようよ」

と意味不明な提案をしてくるのです。

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クリスの超能力は正真正銘の本物で、実験会では透視やサイコキネシスなどをトリックなしでやってみせ、場内をドン引きさせたほどです。

というわけで、半信半疑ながらクリスのサイキックパワーで枕崎のカツオブシ工場へワープ!

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「山岡さんじゃないですか!」という声に士郎が振り向くと、

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 驚いた栗田さんは、

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それ読者のセリフですよ

……現実を受け入れ、枕崎で良質のカツオブシを手に入れた士郎は、次に北海道の尾札部(時期は7月末)を指定して新鮮な昆布をゲット。行く先々で食材のうんちくを語り、雑誌編集者を精神的に追い詰めたところで、調理をするために銀座の岡星へ向かうようクリスに依頼します。

タイムワープが楽しくなってきた山岡さん
▲タイムワープが楽しくなってきたと思われる山岡さん

料理の結果はもちろん大成功!クリスをはじめ雑誌編集者を唸らせました。 そして用が済んだらとっとと消える一同に、岡星の大将もびっくりで大迷惑。

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無事帰ってきた一行は、山岡に感謝しつつ、タイムワープについてちょこっとだけ語ります。

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いやすご過ぎでしょ。

結論

まあこのとおり、美味しんぼは素晴らしいトンデモ回があるので、今さらどんな描写をされようが「まあSF漫画だからさ」という気持ちです。ですがやはり、人の反感を買う描き方はよくないので、作者を養護するつもりはありません。とりあえず編集部が発表する5月19日の特集記事を見てみるとしましょう。

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